課題
個人開発しているパズルゲーム(ブロックを消していくパズルアプリ)がApp Storeの審査で却下された。原因は「他のアプリと似すぎている」という指摘。ここまでは、以前書いた記事でも触れた話。
問題はその後。まだ一度も審査に出していない、別のパズルゲーム(水を色ごとに仕分けるパズル)をどうするか、という話が出てきた。却下されたわけでもないアプリを、なぜ作り直すことになったのか。
この記事でわかること
- 1つのアプリが審査で受けた指摘を、まだ提出していない別のアプリへ「先回りで」適用するかどうかを判断する考え方
- 複数のアプリを同時に育てているとき、1つの審査結果が他のアプリにも影響し得ることに気づく手がかり
解決できるようにすること
1本の審査結果を「そのアプリだけの問題」として片付けず、同じポートフォリオの中にある他のアプリへも目を向けるべきかどうかを判断できるようになる。
本文
却下された理由を、他のアプリにも当てはめてみたら
ブロックパズルが却下された理由は「他の開発者のアプリと、仕組みや見た目が似すぎている」というもの。Appleからの通知は抽象的で、具体的にどのアプリと似ているかは教えてもらえなかった。
このとき、AIから、この却下理由はジャンル飽和が原因である可能性が高く、水分けパズルもブロックパズルと同様にジャンルが極めて飽和した定型ゲームなので同じリスクが当てはまるのではないか、という分析が示された。
「あれ、確かに」と思った。水を色ごとに仕分けるパズルも、ブロックパズルと同じくらいジャンルとしてはよくある定番の形。ジャンルが飽和しているのが原因なら、ブロックパズルだけの問題じゃない。
調べてみると、もっと引っかかる点があった。同じ理由で審査を止めていたアプリ(数独)が実はもう1本あった。それなのに、次に審査へ出す予定だった水分けパズルには、同じ用心がされていなかった。1本だけ用心して、もう1本は素通りさせようとしていた、というちぐはぐな状態。
これは見過ごせない。水分けパズル以下、まだ審査に出していない3本のアプリすべてについて、いったん提出を止めることにした。却下されてから直すのではなく、却下される前に止める、という判断。
Appleからの返事を待たずに進められることは進める
却下されたアプリの審査スレッドに問い合わせを送った後、Appleからの返事はすぐには来なかった。ここで「返事が来るまで何もしない」を選ばなかったのが、地味に効いたポイント。
返事を待たなくても進められる部分がある。それが「提出前にどう自分でチェックするか」という基準づくり。既存の「毎回の判断が変わるか」「一文で説明できるか」といった5つの条件に、Appleが指摘した「名前や説明文が競合と被っていないか」という6つ目の条件を加えて、基準をまとめておいた。
Appleからの返事は数日後に届いた。内容は「他の開発者のアカウント情報は教えられないので、具体的にどこが似ているかは開示できない」「理由自体は変わらない」「ユニークなアプリを作って出し直してほしい」という、かなり一般的な内容。具体的な手がかりは、結局もらえなかった。
これで「返事を待てば具体的な原因が分かる」という期待は外れた。だったら、6つの基準は重みづけせず、並列のまま最終版として確定させることにした。待っている間に基準を作っておいたおかげで、ここで足止めにならずに済んだのが良かった。
水分けパズルを「配達」の形に変える
止めていた水分けパズルの中身をどう変えるか、という相談を始めた。今のままの「全部同じ色にそろえる」だけのゲームは、他のアプリとの差がほとんどない。
候補の1つに「色を結晶化させて集める」という案があった。見た目は面白そうだったけれど、AIから、この案は独自性は強いものの、ブロックパズル側の鉱物図鑑と発想が近く、同じポートフォリオ内での意匠重複リスクを新たに生む可能性がある、という指摘があった。1本のアプリだけを見て「差別化できている」と判断しても、同じ自分が作っている別のアプリと似た仕組みになってしまえば、それはそれで新しい問題になる。
「そこまで見ないといけないのか」と、ちょっと面倒に感じたのが正直な気持ち。でも、結果的にはこの指摘のおかげで別の案(指定されたチューブへ指定の色・量を届ける「配達」の形)を選ぶことになった。こちらのほうがブロックパズルとは方向性がはっきり分かれていたので、後から見ても良い選択だった。
名前も世界観も、何度も転がることになった
配達の仕組みを実装したところで、名前と世界観の検討が始まった。最初は「ポーション便」という名前で、架空のポーションを届けるという設定に落ち着いた。ここまでは順調。
ただ、この後の展開が長い。世界観を掘っていくうちに、正式名称は「月灯り調合所」、届ける主モードは「ポーション便」、図鑑は「月灯り調剤録」という体系に膨らんだ。依頼カード、封印・発送の演出、章ごとの依頼シナリオまで作り込んでいった。
途中で自分が気づいたのが、「配達」という言葉を前面に出しすぎている問題。プレイヤーが実際にやっている操作は「仕分け」であって、「配達」はその結果でしかない。物流シミュレーションみたいな別のゲームを想像されてしまうかもしれない、とAIへ伝えたところ、たしかにその通りだという話になり、主モード名を「調剤依頼」へ全面的に変え直した。ここまでで名前が変わったのは2回目。
「これで承認したはず」が実装に反映されていなかった
世界観の資料として、羊皮紙や封蝋を使ったデザインのモックアップを作って承認をもらっていた。ところが実装を見直したとき、「あれ、この見た目、モックアップと全然違う」と気づいた。
承認していたのは名前や効能、文章、データの形。見た目そのものをどこまで再現するかは、実は着手前に確認していなかった。結果として、実装では標準的な部品がそのまま使われていて、羊皮紙の質感も封蝋のスタンプも反映されていなかった。
「承認した」と「実装された」は、思っているほど自動的につながらない。ここは調剤録の一覧・詳細、依頼カード、発送完了の演出、この4箇所をあらためて作り直すことにした。
数字を決めるたびに、また数字が変わる
依頼者や依頼文の設計を進めていく中で、レベル数がどんどん増えていった。1回のセッションの中だけで、20→21→24→30→35と5回も変わり、章の数も5→6→7と変わった。
ストア用の説明文を直すたびに、また数字が変わる。さすがに「これ、リリース後もまた増えるのでは」と思うようになった。実際その通りで、レベル数や章の数を具体的に書くのはもうやめて、「じわじわ手強くなるステージを多数収録」のような、数を明示しない表現に変えることにした。数字を正確に書こうとするほど、そのたびに書き直しが発生する、という地味な発見。
もう1本のアプリと、表示方法がずれていた
作業の合間に、「調剤録の詳細画面の見せ方が、ブロックパズルの図鑑詳細と違うのはなぜか」とAIに聞いてみた。AIが確認したところ、片方はその場にポップアップで出す方式、もう片方は画面ごと切り替える方式で、実装のタイミングが違うだけで意図して分けたわけではなかったと分かった。
同じアプリ群の中で表示方法がバラバラなのは、地味に良くない。片方の方式へ統一し、今後同じことが起きないよう、アプリ間の画面遷移の方針を設計ドキュメントへ追加した。1本だけを見ていると気づけないズレが、複数のアプリを並べて初めて見えてくる、という実例。
まとめ
まだ審査に出していないアプリを、却下されてもいないうちに作り直す。最初にこの判断を聞いたときは「そこまでやる必要があるのか」と思ったのが正直なところ。でも、実際に進めてみると、名前・世界観・演出・レベル設計・画面遷移と、直す場所は次から次に出てきた。
ここまで書いた2026-08-24の時点で、水分けパズル(月灯り調合所)はまだApp Storeへ提出していない。ブロックパズル側の再審査の結果も、Appleからはまだ返事が来ていない。だから「先回りしたおかげで却下を防げた」とはまだ言えない。これは今のところ、そこへ向けて準備を続けている途中の記録。
同じ状況に陥ったときの回避策
- 却下の理由を、そのアプリだけの問題として片付けず、同じポートフォリオの他のアプリにも当てはまるかを確認する
- 新しい差別化案を考えるときは、そのアプリ単体の独自性だけでなく、自分が作っている他のアプリと似すぎていないかも一緒に確認する
この記事は、筆者が実際に個人開発している複数のモバイルアプリ(パズルゲームを含む)の開発記録(2026年8月19日〜24日)を基に、独自調整したAIが下書きを作成し、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。
追記(2026-09-07): この記事を書いた時点では水分けパズル(月灯り調合所)はまだ提出前だったが、その後Appleの審査を通過し一般公開された。実際の姿は月灯り調合所の紹介ページで見られる。

