なぜ、全テストPASSの演出が、実機で見ると『謎の線』にしか見えなかったのか

AI活用術

課題

自動テストが全部PASSしていても、それは「動いている」ことの確認にしかならない。見た目の「豪華さ」や「ちゃんと成長している感じ」のような、体験として伝わるかどうかは、テストの合否では判定できない。

この記事でわかること

  • 自動テストが全部PASSしても、見た目の「伝わり方」までは保証されない理由
  • 「なんか違う」と感じた演出を直すときの、具体的な聞き方・試作の重ね方

解決できるようにすること

テストは全部通っていたのに、実機で見た瞬間に「これじゃない」と分かった1件を通して、直す前に何を確認すべきか、どう試作を重ねればいいかを、実例で確認できるようにする。

全テストPASSの演出が、実機で「謎の線」に見えた

個人開発しているパズルゲーム(鉱石標本を育てて図鑑に収蔵していく、Block Puzzle)で、標本を育てるほど図鑑のフレームが豪華になっていく演出を、AIに実装してもらった。標本の画像の上に、成長段階(Stage)が進むごとに亀裂のような線を重ねて描く仕組みで、コードの検証も画面の目視確認もすべて問題なく通っていた。

別の機能をTestFlightで実機確認していたときに、この演出の画面が目に入った。フレーム内の鉱石画像の右上に、逆「く」のような線が入っている。「フレームを豪華にしていく想定だったはずだが、この表示は意図したものなのか」と気になり、画面写真をAIに送って確認した。

AIからは、これは意図した通りの動きだという説明があり、続けて見た目に満足しているかを聞かれた。答えたのは、「グレードアップした、というより『謎のライムグリーンの線が出てきた』という感じ。フレームが豪華になっているという感じではない」という、正直な感想だった。

「不具合」ではなく、狙いが伝わっていなかった

これは仕組みとしては正しく動いていて、コードのバグではない。ただ、この演出が本来目指していた「収蔵するほど豪華になっていく実感」を、実際には届けられていなかった。

AIはいきなり直しにかからず、まず「豪華になっていく」の具体的なイメージを聞いてきた。答えたのは、「フレームの縁が豪華になっていくイメージ。最初はただの幾何学的な枠線だけど、だんだん豪華な額縁みたいになっていく感じ。レア度ごとの色はそのままでいい」という内容だった。

この一言で、直す対象がはっきりした。標本の画像の上に線を重ねるやり方をやめて、フレームそのもの(八角形の枠線と内側の角丸ライン)を段階的に装飾していく方向へ切り替える。

試作を見せてもらって、また意見を伝えて直す

方向性が決まったところで、AIが実際の標本画像を使ったモックアップを2パターン作ってきた。1つは二重線と四隅の装飾を組み合わせる方向、もう1つは縁を光らせる方向。見せてもらったところ、「両方の要素を組み合わせられないか」と伝え、両方を段階的に組み合わせる案を追加してもらった。

さらに、「Stage1とStage2の違いが分かりづらくないか」とも伝えた。最初の案は、初期の段階でうっすらとした変化を少しずつ足していく作りだったので、各Stageで必ず1つ、はっきり分かる変化が入るように配分し直してもらった(角の装飾が増える→二重線が加わる→縁が光り出す→四隅が特別な形に変わる、という具合)。見せてもらった修正版は分かりやすくなっていたので、この案で進めることに決めた。

直す途中で、もう1つ見つかった

AIが承認された案を実装している途中、色の透明度(アルファ値)の指定が、虹色のグラデーション表示のときだけ効かないという問題に自分で気づいたと報告してきた。調べたところ、グラデーションを使っている場合、単色用の透明度の指定は描画に反映されない仕組みだったのが原因だった。透明度をグラデーションの色そのものに直接指定する形へ直し、テストに出す前に見つけて直せたとのことだった。

最終的に、既存の自動テストを新しい設計に合わせて更新し、最も豪華な段階+虹色グラデーションの組み合わせを確認する新しいテストも追加してもらった。全テストが通ったことに加えて、各段階で「はっきり1つ変化する」という狙い通りの見え方になっているかを、画面表示で一緒に確認した。

まとめ

自動テストが確認してくれるのは「壊れていない」ことだけで、「豪華に見えるか」「ちゃんと伝わっているか」までは保証してくれない。今回のように、実際の画面を誰かに見てもらって初めて、狙いと結果のズレに気づけることがある。

このズレに気づいたときは、すぐに直しにかからず、まず「本当はどう見えてほしいのか」を具体的な言葉や試作で確認するのがよさそうに感じる。今回も、最初に方向性だけ聞いていたら、また別の「伝わらない」演出になっていたかもしれない。試作を見せて、意見をもらって直す、というやり取りを何度か繰り返したことで、狙い通りの見え方にたどり着けた。

同じ状況に陥ったときの回避策

  • 自動テストが全部PASSしていても、体験として伝わるかどうかは別に本人が実機で確認する
  • 「なんか違う」と感じたら曖昧な指示のまま直させず、具体的なイメージ(例え、参考のビジュアル等)を言葉にしてから試作を重ねる

この記事は、筆者が実際に個人開発しているアプリ(個人で開発しているモバイルゲーム)の開発記録(2026年8月19日〜20日)を基に、独自調整したAIが下書きを作成し、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。

追記(2026-09-07): この演出を実装したパズルゲームは、その後「晶脈録」という名前でApp Storeに一般公開された。実際にフレームが豪華になっていく様子は晶脈録の紹介ページで紹介している。

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