課題
「今は使わないけど、将来のために仕込んでおく」というコードは、その場では前向きな投資に見える。でも実際に使われないまま放置されると、思わぬタイミングで負債として顔を出すことがある。しかもコードレビューやテストでは気づけず、全然関係ない作業の途中で発覚するというパターンが厄介。
この記事でわかること
- 「将来のため」に仕込んだ未使用の仕組みが、思わぬ場面(審査書類作成等)で負債として発覚する理由
- 消す前にどう安全確認すればいいかの手順
解決できたこと
「将来使うかもしれない」で作った仕組みは、実際に使われ始めるまでは疑ってかかっていいという教訓を、実際に自分の身に起きた1件から振り返る。削除する前にどう安全確認したかも含めて書く。
本文
発端は、審査の書類を作るための地味な調査だった
手が空いた時間にちょっと触れる、シンプルなゲームやTool系のアプリを何本か作っている。そのうちの1本(反応速度テスト)をApp Storeへ出す準備をしていて、App Store Connectの入力ガイドを作る段階に入っていた。
このガイド作りの一環で、「実際にどんなデータを集めているか」をAIに調査してもらった。すると、プレイのたびに匿名のランダムID(player_id)をAnalyticsへ送信している仕組みが見つかった。自分でも「そんなのあったっけ」と、正直ちょっと意外な発見だった。
掘ってみたら、一度も使われていなかった
さらに調べてもらうと、このIDを送る仕組みは少し前に「将来、クラウド経由のランキング機能を作るときの布石」として実装したものだと分かった。ただ、ランキング機能自体はまだ影も形もなく、このIDは実際には一度も何かの機能に使われることなく、ただAnalyticsへ送られ続けているだけの状態になっていた。
「将来のため」で仕込んだはずの仕組みが、将来が来る前に、ただの余分な送信データになっていたわけ。
審査の書類作りで、初めて負債として顔を出す
この仕組みが地味に厄介だったのは、これがあるせいで、App Store Connectのプライバシー申告に「識別子→ユーザーID」という項目を追加で申告しないといけなくなっていたこと。他の4本のアプリには無い、この1本だけの独自区分になってしまう。
それまでの4本は、広告や分析ツールの構成にアプリごとの違いはあっても、1本目(Block Puzzle、ブロックを消すパズル)で確認した申告内容をベースにそのまま使い回せていた。この1本だけ、使っていない機能のせいで書類の内容が食い違ってしまう状態だった。
このまま申告するか、それとも見直すか
ここで選択肢は2つあった。1つは、このまま「識別子→ユーザーID」を独自区分として申告して進める。もう1つは、そもそもplayer_id自体を見直す。
自分は後者を選んだ。「削除する方向で調査して、問題なければ進めてほしい」とAIに頼んだ。一度も使っていない仕組みのために、わざわざ他アプリと違う申告内容を残すのも変な話だし、この機会に整理してしまう方がいい。
消す前に、ちゃんと確認する
とはいえ、いきなり消していいわけではない。AIに安全確認をしてもらったところ、次の2点が分かった。
player_id自体は、テストからも他のどのアプリのコードからも参照されていない- 将来のランキング機能自体もまだ何も実装されていない(機能の設定自体がオフのまま)
この2つが確認できたので、削除しても今の動作には何も影響しないと判断できた。「なんとなく使ってなさそう」で消すのと、「参照が無いことを確認して」消すのは、安心感がだいぶ違う。
消したのは「使い方」だけで、「仕組み」自体は残した
もう一つ良かった判断があった。削除したのは、反応速度テスト側でこのIDを作って送っていた部分だけ。ID自体を作る共通の仕組み(他のアプリでも使えるFramework側の機能)はそのまま残した。
「今回使っていなかった機能」と「今後も使うかもしれない共通の道具」を分けて考えたことで、必要以上に削り過ぎずに済んだ。
「将来のため」のコードは、動き出すまで疑っていい
将来の機能のために仕込んだコードは、実際にその機能が動き出すまでは、いつ負債として顔を出すか分からない。今回のように審査の書類作りだったり、別のところで急に足を引っ張られることもある。
もし「将来使うかもしれない」で残しているコードに心当たりがあるなら、一度「今、本当に使われているか」を確認してみるといいかもしれない。使われていなければ、消すか残すかを今のうちに決めてしまう方が、後から慌てずに済む。
同じ状況に陥ったときの回避策
- 「将来のため」で仕込んだコードは、実際にその機能が動き出すまで定期的に「今、本当に使われているか」を確認する
- 削除する前は、テスト・他のコードからの参照が無いことを確認してから判断する
この記事は、筆者が実際に進めている個人開発の記録(2026年8月6日)を基に、独自調整したAIが下書きを作成し、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。

