AIツールに『それはできません』と言われた。2回目はどう乗り越えたか

AI活用術

課題

AIと一緒に作業していると、「今使っているツールには、実はこの機能が無い」という制約に思いがけずぶつかることがある。そのとき、作業を止めるべきか、別の方法を探すべきか、とっさに判断がつかず戸惑ってしまう。

この記事でわかること

  • AIツールに「その機能は無い」と言われたとき、1回目にできる現実的な対応
  • 同じ制約に2回目にぶつかったとき、対応を早くするために効くこと

解決できるようにすること

同じ制約に2回ぶつかったときの対応を並べて見ることで、1回目にできること・2回目に変わることを、自分のAI活用に当てはめて考えられるようにする。

1回目: 隠し要素の絵を作ろうとして、壁にぶつかった

個人開発しているパズルゲーム(ブロックを消して鉱石標本を育てる、Block Puzzle)で、全14種の鉱石標本を全て最高段階まで育てると解放される、15番目の隠し標本を作ろうとしていた。

名前や世界観はAIに叩き台を出してもらい、いくつかの案から「観脈晶(かんみゃくしょう)」に決めた。他の14種の謎解きが「地脈は答えを持たず、意味を与えているのは採掘者自身だった」という結末に揃っていたのに対し、観脈晶はその逆――「地脈もずっと採掘者を見ていた」という双方向性を明かす、真エンディング的な位置づけにした。発動の仕組みも、他の標本のような段階的な採掘数は使わず、全14種制覇の瞬間に自動で解放される一点物にすることで、新しいデータの持ち方を増やさずに済ませられた。

ここまでは順調だった。ところが、いよいよ新しい標本の絵を用意しようとしたところで、思わぬ壁に当たった。普段は2つのAIツールを使い分けているのだが、既存14種の絵は、もう一方のAIにあった画像生成の機能を使って作られたものだった。今回作業を頼んでいるAIには、その画像生成の機能が搭載されていないことが分かってしまった。使える機能を一通り確認しても、同じことができる代わりの機能も見当たらない。「あれ、これ前は普通にできてたのに」という感覚だった。

2つのAIを使い分けていて、はっきりと差を実感したのはこれが初めてで、今のところこれがほぼ唯一の「使い分けていて良かった/困った」と言える機能差になる。

AIから制約を説明され、今回は「絵そのものは作れないが、絵を作るための指示文(Prompt)の設計まではできる」という提案を受けた。既存の絵と同じ作り方(共通の指示文+鉱石ごとの差分)に沿って、観脈晶用の差分だけを追記する。実際のコード側の実装(一覧への追加、全制覇判定、専用の表示)は、絵が無い状態で組み込むと存在しない画像を読みに行ってエラーになるため、絵を受け取ってから着手することにした。

結果として、この標本の実装はそこで止まっている。1回目の対応は、「制約を受け止めて、できるところまでスコープを縮める」という選び方だった。

2回目: 同じ壁に、今度は身構えて向き合った

翌日、別の新機能に取りかかった。友人にゲームを試してもらったところ、「鉱石が育つ条件」と「レア鉱石が出る『!』マークの意味」が分かりづらいというフィードバックをもらった。そこで、初回起動時にだけ表示する、紙芝居形式のチュートリアルを追加することにした。実際に操作させるのではなく、注釈付きの画像を数枚、順番に見せるだけの形式になる。

画像の作り方を検討し始めた瞬間、「これ、また同じやつじゃないか」と気づいた。1回目とまったく同じ、画像生成機能が無いという制約だった。

ただ、今回は身構え方が違った。制約に気づいてから代替案を考えるのではなく、気づいた時点で「実際のゲーム画面をスクリーンショットして、矢印や説明を書き加える」という具体的な代替手段をすぐに提案できた。すでに、Store掲載用のスクリーンショットを撮る仕組みが用意されていたので、それを流用する形になる。

実装は一筋縄ではいかなかった。最初は既存の撮影方法をそのまま使おうとしたが、鉱石のマスが透明のまま撮れてしまう問題に遭遇した。原因を調べると、通常表示に使う画像を読み込む処理は、テストの中で明示的に呼び出さないと反映されないという、テスト環境特有の制約だった(これは少し前の別の作業で一度遭遇していた制約と同じ種類のものだった)。最終的には、鉱石の見た目だけを直接描画する専用の撮影用コードを新しく作り、狙った盤面を再現して撮影。矢印や囲みは、使い捨てのスクリプトで後から合成した。

できあがった画像を組み込み、初回だけ自動でチュートリアルを表示する仕組み、後からいつでも見返せる「?」アイコンも実装した。テストは110件以上すべて通り、実機(エミュレータ)でも一連の流れを操作して確認した。この後、フィードバックの受け取り方を2点誤読していたことが分かり修正する場面もあったが、それは制約とは別の話なので、ここでは触れない程度にしておく。

最終的にこの機能は無事に完成し、次のアプリ更新用のビルドにも問題なく組み込まれた(Store側の審査・公開はまだこれからで、ここではビルドが無事に成功したところまでを指す)。2回目の対応は、「同じ制約だと気づいた瞬間に、手持ちの別の道具で代わりを作る」という選び方だった。

何が変わったのか

1回目と2回目で、制約そのものは何も変わっていない。今使っているAIツールに画像生成の機能が無い、という事実は変わらずそのまま残っている。

変わったのは、気づくタイミングと、その後の動き方だった。1回目は絵を作ろうとして初めて制約に気づき、そこから「スコープを縮める」という一段構えの判断しかできなかった。2回目は、画像が必要な作業に入る前から「あ、これは前と同じ制約だ」と見当がつき、しかも「実際の画面を撮って注釈をつける」という具体的な代替手段まで、ほぼ迷わず提案できた。

使った道具自体は、実は何も新しくない。Store用のスクリーンショットを撮る仕組みも、テスト環境の画像読み込みの制約も、どちらも以前からあったものになる。新しかったのは、「今の環境でできないこと」と「今の環境の中で代わりに使える道具」を、1回目の経験から結びつけられるようになっていたことだった。

まとめ

AIツールにも「これはできません」という制約がある。今回のように、同じ制約に2回目に出会ったときは、1回目の経験のおかげで対応がぐっと早くなることがある。

一方で、全ての制約が同じように回避できるわけではない。観脈晶の絵は、結局まだ誰かに作ってもらうのを待っている状態のままになっている。代わりの道具が無いときは、無理に何かをひねり出そうとせず、素直に「ここで止まって待つ」という判断も、選択肢の1つとして持っておきたい。

同じ状況に陥ったときの回避策

  • 「その機能は無い」と言われたら、無理に代替を急がず、まずスコープを縮めてできる範囲を見極める
  • 一度経験した制約に再びぶつかったら、「今の環境でできないこと」と「今の環境で代わりに使える道具」を結びつけて、早めに具体的な代替案を出す

この記事は、筆者が実際に個人開発しているアプリ(個人で開発しているモバイルゲーム)の開発記録(2026年8月19日〜20日)を基に、独自調整したAIが下書きを作成し、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。

追記(2026-09-07): このとき作業していたパズルゲームは、その後「晶脈録」としてApp Storeで一般公開された。観脈晶を含む鉱石図鑑の実際の様子は晶脈録の紹介ページで確認できる。

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