課題
「Claudeはチャットで回答するだけ」——そう思っているなら、MCP(Model Context Protocol)を知ることで認識が大きく変わる。MCPを使えば、ClaudeはNotionのページを読み書きしたり、SlackにメッセージをルーティングしたりGitHubのIssueを操作したりと、外部ツールに対して実際に「手を動かせる」エージェントになる。
この記事でわかること
- MCPとは何か、どういう仕組みで動くのか
- 通常のClaudeとMCPを使ったClaudeの何が違うのか
- Claude DesktopへのMCPサーバーの追加方法(GUI・コマンド両対応)
- 非エンジニアにおすすめのMCPサーバーの例と使い方
- 安全に使うための注意点
本記事の情報は2026年8月時点のものです。MCPのエコシステムは急速に進化しています。設定手順・仕様の最新情報は、Anthropic公式ドキュメント(docs.claude.com)でご確認ください。
解決できるようにすること
MCPの基本的な仕組みから、Claude DesktopへのMCPサーバー追加手順、実践的な活用パターンまでを初心者向けに解説する。
本文
MCPとは何か
一言で言うと「AIのためのUSB-C」
MCP(Model Context Protocol)とは、AnthropicがAI版の汎用接続規格として2024年11月に公開したオープンスタンダードだ。従来のAPIは「AIごとに個別の実装が必要」という問題があった。MCPは統一プロトコルであるため、1つのMCPサーバーを作ればClaude・ChatGPT・Cursor・Gemini・VS Codeなど、対応するすべてのクライアントから利用できる。これが「AIのUSB-C」と呼ばれる理由だ。
MCPを開発・運用するModel Context Protocol公式ブログ(2026-07-28付の仕様更新記事)によると、Tier 1 SDK(TypeScript・Python)の合計ダウンロード数はすでに10億件を超え、月間のダウンロード数もSDK全体で5億件近くにまで拡大しているという。数か月前と比べても急速に伸びている分野のため、具体的な数値は本記事執筆時点(2026年8月)のものとして参考程度に見てほしい。
通常のClaudeとの違い
- 通常のClaude(チャット):得られる情報は学習データ+会話の中の情報のみ、できるアクションはテキストを生成・回答するだけ、感覚としては「物知りな相談相手」
- MCP連携後のClaude:外部ツールのリアルタイムデータも参照可能、外部ツールを実際に操作できる、感覚としては「実際に手を動かすエージェント」
たとえばMCPなしの場合、「Notionの先週の議事録を要約して」と頼んでもClaudeはNotionを見られないので回答できない。MCPを設定すると、ClaudeがNotionに接続して自動でページを取得し、内容を要約して返せるようになる。
MCPの仕組み(読み飛ばしOK)
設定するだけで使いたい方は次の章へ進んでほしい。仕組みを知っておくと設定時のトラブル対処が楽になる。
MCPは「クライアント(Claude)」と「サーバー(外部ツール)」の間で通信を行う仕組みだ。具体的には次の流れで動作する。
- ClaudeがユーザーのメッセージからMCPツールを呼び出すべきか判断する
- 適切なMCPサーバーのツールを呼び出す
- MCPサーバーが外部ツール(GitHub・Notion等)にアクセスして情報を取得・操作する
- 結果がClaudeに返され、ユーザーへの回答に使われる
MCPサーバーが提供できる機能は3種類に分類される。
- Tools(ツール):AIが実行できる関数。ファイル操作・API呼び出し・DB更新など
- Resources(リソース):コンテキスト情報の提供源。ファイル内容・DBレコード・APIレスポンスなど
- Prompts(プロンプト):再利用可能なテンプレート。システムプロンプト・few-shotサンプルなど
Claude DesktopへのMCPサーバーの追加方法
MCPを使い始めるには、Claudeへのサーバー追加が最初のステップだ。方法は2つある。
前提条件
- Claudeデスクトップアプリ(claude.ai からダウンロード・インストール済み)
- Claude Proプラン以上(無料プランではMCPの一部機能が制限されることがある)
方法①:GUIから追加する(最も簡単)
claude.aiのWeb版またはClaudeデスクトップアプリのチャット画面左下にある「+」ボタン、または「Settings(設定)→ Connectors」から、検索して接続できるConnector(Notion・Slack・Google Drive等)が用意されている。
- Claudeデスクトップアプリを開く
- チャット画面左下の「+」ボタン、または左下のアカウントアイコンから「Settings(設定)」を開く
- 「Connectors」を選ぶ
- 使いたいサービスを検索して接続する
- 認証画面が表示されたらアカウントを承認する
方法②:コマンドで追加する(より柔軟な設定)
Claude Codeを使っている場合は、コマンドラインからMCPサーバーを追加できる。
# 自分だけのローカル設定として追加(デフォルト)
claude mcp add サーバー名 -- npx -y @サーバーパッケージ名
# チームで共有するプロジェクト単位で追加
claude mcp add --scope project サーバー名 -- npx -y @サーバーパッケージ名
# 自分の全プロジェクト共通(ユーザー単位)で追加
claude mcp add --scope user サーバー名 -- npx -y @サーバーパッケージ名
# 登録済みMCPサーバーの一覧確認
claude mcp list
# MCPサーバーの削除
claude mcp remove サーバー名
追加後、/mcpコマンドでサーバーの接続状態と利用可能なツールを確認できる。
OAuth認証が必要なサービスについて
NotionやSlack等のリモートサービスを追加する際は、OAuth(オーオース)と呼ばれる認証フローが発生する。難しそうに聞こえるが、操作は「ブラウザが開く→許可するボタンを押す」だけだ。サーバー追加→/mcpコマンドでサーバーの認証ステータスを確認→「要認証」と表示されたらOAuthフローへ→自動的にブラウザが開き、外部サービスのOAuth認可画面が表示される→許可するスコープを確認して承認、という流れになる。
非エンジニアにおすすめのMCPサーバーの例
初心者は公式サーバーから始めるのが最も安全だ。以下はAnthropic公式またはサービス公式が提供しているサーバーの例で、GUIのConnectors経由、またはClaude Codeのコマンドから追加できる。
Filesystem(ファイルシステム)
できること:PCの指定フォルダ内のファイルを読み取り・作成・編集・検索する。向いている人:ファイル整理・ドキュメント一括処理をしたい人。料金:無料。
(使用例)「プロジェクトフォルダ内にある全議事録のファイルを読んで、未解決のタスクを一覧にまとめてください」
Notion
できること:Notionのページ・データベースを読み取り・検索・作成・更新する。向いている人:NotionをナレッジベースやプロジェクトMGTに使っている人。料金:無料(Notionアカウントが必要)。
(使用例)「Notionの『営業日報』データベースから今月の日報をすべて取得して、顧客別の課題と対応状況を表にまとめてください」
Slack
できること:Slackのメッセージを検索・閲覧し、指定チャンネルへ送信する。向いている人:日常業務のコミュニケーションをSlackで行っている人。料金:無料(Slackアカウントが必要)。
(使用例)「Slackの#マーケティングチャンネルの今週の投稿を読んで、決定事項とアクションアイテムを整理してください」
Google Drive
できること:Google Driveのファイルを検索・読み取り・作成する。向いている人:ドキュメントをGoogle Driveで管理している人。料金:無料(Googleアカウントが必要)。
(使用例)「Googleドライブの『2026年 議事録』フォルダにあるファイルをすべて読んで、プロジェクトXに関する意思決定の経緯をまとめてください」
Web検索系のMCPサーバー
ClaudeはデフォルトでリアルタイムのWeb検索ができないが、Web検索用のMCPサーバーを接続することで最新情報を参照しながら回答できるようになる場合がある。どのサーバーを使うかは提供元・評判をよく確認してから選んでほしい。
実践的な活用パターン
パターン①:ドキュメント横断サマリー
複数の議事録・日報・レポートをまたいで情報を整理するのに最も効果を発揮する。
Notionの議事録データベースから直近1ヶ月の記録を読んで、
プロジェクトAに関して決まったこと・課題・次のアクションを
時系列で整理してください
パターン②:Slack情報のNotionへの転記
ツール間のコピーペーストを自動化できる。
Slackの#weekly-reportチャンネルの今週の投稿を読んで、
内容を整理した上でNotionの『週次レポート』ページに
新しいエントリーとして追加してください
パターン③:ファイル整理の自動化
Downloadsフォルダを確認して、
・PDF:Documentsの『PDF保管』フォルダへ
・画像ファイル:Picturesの『DL画像』フォルダへ
・Excelファイル:Documentsの『スプレッドシート』フォルダへ
それぞれ移動してください。
移動したファイルの一覧もあわせて教えてください
パフォーマンスを保つコツ
使わないサーバーは無効化する
登録済みだが日常的に使わないMCPサーバーは、/mcp disableで無効化しておくことを推奨する。有効なMCPサーバーが多いと、セッション開始時にすべてのツール定義がコンテキストに読み込まれ、トークン消費の増大やレスポンス品質の低下につながる可能性がある。必要なときだけ/mcp enableで再度有効にする運用が、コストとパフォーマンスの両面で最適だ。
Tool Search機能について(Claude Code)
Claude CodeにはMCPツール検索(Tool Search)機能があり、MCPサーバーのツール定義を必要なときだけ読み込むことでコンテキストの使用量を抑える設計になっている。大量のMCPサーバーを使う場合も、この機能によりパフォーマンスへの影響を抑えられる。具体的な削減率は使い方によって変わるため、本記事では断定的な数値は挙げない。
セキュリティ上の注意点
信頼できるサーバーだけを追加する
サードパーティのMCPサーバーは自己責任で使用してほしい。Anthropicはこれらすべてのサーバーの正確性またはセキュリティを検証していない。インストールするMCPサーバーを信頼していることを確認してほしい。公式サーバー(Anthropic公式・各サービス公式)から始め、コミュニティ製サーバーを追加する際は提供元・評判・コードの内容をよく確認しよう。
機密情報を含む操作は慎重に
MCPサーバーを通じてClaudeが操作できる範囲は、接続したアカウントの権限範囲内に限られる。重要なフォルダやドキュメントへのアクセスを許可する際は、操作範囲を明示的に指定してから実行させよう。
(操作前の確認を促す指示の例)「実行前に、何をどのファイルに対して行うか教えてください。確認してからOKを出します」
APIキーはテキストで貼り付けない
MCP設定でAPIキーが必要なサーバーでは、設定ファイルや環境変数での管理が基本だ。Chatやクラウドへの会話でAPIキーをそのまま伝えることは避けよう。
まとめ
| こんな用途なら | おすすめのMCPサーバー |
|---|---|
| ローカルのファイルを整理・処理したい | Filesystem |
| Notionのデータを活用・更新したい | Notion |
| Slackの情報を整理・転記したい | Slack |
| Googleドライブを横断的に扱いたい | Google Drive |
MCPは「Claudeをチャットボットからエージェントへ進化させる」技術だ。最初の一歩としては、FilesystemとSlack・Google Driveの組み合わせから始めるのがおすすめだ。自分の業務フローに合わせて段階的にサーバーを増やしていけば、Claudeが社内業務の本格的なアシスタントへと進化していく。
まずGUIから1つ接続して、「あのチャンネルをClaudeが読んでくれた」という体験から始めてみてほしい。
次のステップ
Claudeの基本操作からまだ確認したい場合は、こちらを先に読むとMCP連携を試しやすくなる。
この記事は、Anthropic公式ドキュメント・Model Context Protocol公式ブログの確認(2026年8月)を基に、独自調整したAIが見直し・改稿を行い、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。

