なぜ、審査で却下されたパズルゲームを、直さず作り直すことにしたのか?

AI活用術

課題

外部の審査で「既存のものと似ている」と却下されたとき、細かい部分を直して再提出するべきか、そもそもの中身を作り直すべきか、判断の基準が無いと迷ってしまう。

この記事でわかること

  • 審査で「既存のものと似ている」と却下され、理由が具体的に分からないときの初動と、作り直すかどうかの判断材料
  • 中心体験を作り直した後にまとまって出てくる不具合への向き合い方

解決できたこと

却下理由が具体的に分からないときの初動、作り直すかどうかの判断材料、そして作り直した後に見つかる不具合への向き合い方を、実例を通じて確認できる。

本文

審査に落ちた、理由は「他と似ている」

個人開発しているパズルアプリ、Block Puzzle(ブロックを消すパズル)をApp Storeへ提出したところ、Appleの審査で却下された。理由はGuideline 4.3(a)、いわゆるSpam・既存アプリとの類似という指摘だった。

Repository内を確認しても、購入したTemplateや第三者のSourceを流用した形跡は無い。ただ、仕様自体が「8×8マス、手持ち3Piece、縦横一列消去、エンドレス」という、よくあるBlock Puzzle系の型そのままで、画面構成も定番的だった。Appleが具体的な根拠を開示しないため断定はできないが、総合的に見て独自性が足りないと判断された可能性が高い。

すぐに直そうとせず、まず聞くことにした

却下されたとき、最初に考えたのは「どこを直せば通るか」ではなかった。即座にAppealするのでも、細かい部分を直してすぐ再提出するのでも、大きく作り直すのでもなく、まず却下Threadへ「binary・metadata・concept・UXのどれが主な理由か」を問い合わせることにした。

回答が来るまでは大きな行動を起こさない。「直せばいい」と決めつける前に、何が問題なのかを確認する。焦って動くと、見当違いの修正を重ねてしまうことがある。

3つの選択肢と、AIが勧めなかった理由

Appleからの回答を待つ間、次の3つの選択肢を並べた。

  1. このまま回答を待つ
  2. Metadataだけ修正して再Reviewに出す
  3. 今の申請を取り下げ、新しいAppとして出し直す

AIには、3つ目の案について「同じConceptのまま別のBundle IDで出し直すと、かえって4.3の懸念を強めかねない。審査履歴やApp名の実績、Bundle IDの再利用という点でも不利になる」という評価を任せた。結果、既存のApp Store ConnectのレコードとBundle IDは維持したまま、新しいBuildと独自の名称で再申請する方針にまとまった。「同じ土台の上で、中身を変える」という選び方だった。

名前を変えるにも、先に確認することがあった

新しい名称の候補として最初に挙がった「Gemvein」は、調べてみると2026年に公開された別のゲーム「Gemvein Excavate」が既に使っていることが分かり、候補から外した。最終的に残ったのは「晶脈録」「鉱脈の庭」「深層晶譜」の3案で、これは商標調査ではなく、正式に決まった後であらためて確認する前提で選んだ。

「思いついた名前をそのまま使わない」というだけの、地味だけれど省略しやすい確認だった。

AIの提案を一度断って、自分の好みに戻ってきた

体験の再定義としては、「鉱石を育てて採掘し、図鑑へ収蔵する」という方向を選んだ。App IconもAIにA〜Fの6案を作ってもらい、岩から結晶が育つ様子や、Blockが結晶に変わる案などを比べた。

AIが推した案は一度採用したものの、最終的には自分の好みで別の案(3つのBlockの空いた枠から、母岩の中の結晶が現れるデザイン)を選んだ。その案をv1、v2、v3bと少しずつ直していったが、直すたびに「やっぱり最初の案が一番良かった」という結論に戻ってきて、結局は初期案へ回帰した。

AIの提案が常に採用されるわけではない。中心となる体験や見た目の最終判断は、作っている本人の好みに委ねる場面があってもいい。

作り直した後に見つかった、思わぬ不具合たち

名前とIconを決め、Store掲載文言も「救済操作」中心から「採掘・成長・レア発見」中心へ書き直して実装を進めたところ、Store用Screenshotの確認項目9件のうち3件が引っかかった。「え、実装まで壊れた?」と身構えたが、原因を調べると、実装が壊れていたわけではなく、単に撮影を新しい見た目で撮り直していなかっただけだった。ついでにHome画面のApp Icon画像がキャッシュ未生成のまま空欄で撮影されていたことも見つかり、直した。

そこから、候補となるBlockのDrag中の表示がずれる不具合も見つかった。原因は、静止時に使う中央寄せの余白を、Drag中の座標計算にも誤って使っていたこと。この調査の途中で、「あれ、この設定値そもそも何もしてなくない?」とまったく別の目的で用意していた設定値を見直すと、以前の変更で実質何もしなくなっていたことに偶然気づいた。

さらに、Blockを置く前に表示される予告表示の基準点と、Drag中の表示の基準点がズレていたことも分かった。片方は左上のマス基準、もう片方はBlock全体の中心基準で、単純な1マス分のBlockだけ偶然両方が一致していたため、これまで気づかれずに残っていた。同じ調査の中で、L字型のBlockをある向きに回転させたときだけ配置がずれる、という特定の組み合わせでしか起きない不具合も見つかっている。「よりによってそこだけ」という、地味に厄介なEdge Caseだった。

もう一つ、収蔵した鉱石の数がGame画面からHome画面へ戻っても更新されない不具合もあった。原因は、他の似た機能ではすでに入れていた「表示を作り直す」ための呼び出しを、新しく作った機能にだけ入れ忘れていたこと。既に分かっているはずのパターンを、新しい部分にだけ適用し忘れる、というよくある見落としだった。

「見た目や名前を変えただけ」のはずが、これだけの数の不具合につながっていた。作り直しは、見えている部分を変えるだけでは終わらない。

結果は良好、Appleの返事はまだ

一連の修正を終えたBuildをTestFlightで実機確認したところ、結果は良好だった。これでいったんの作業は完結したことになる。

残っているのは、Appleからの再審査の回答だけ。この記事を書いている時点でも、まだ結果は届いていない。

まとめ

「既存のものと似ている」という外部からの却下は、細かい部分を直すだけでは解決しない場合がある。今回は、理由を確認する、複数の選択肢とその根拠を並べる、中心体験を作っている本人が選び直す、という順番を踏んだことで、単なる再提出よりも納得できる形にたどり着けた。

そして、作り直した後には、見えていなかった不具合がまとまって出てくることも珍しくない。それを「思ったより大変だった」で終わらせず、1つずつ原因を確認して直していく作業も、作り直しの一部として見ておきたい。

同じ状況に陥ったときの回避策

  • 却下理由が具体的に分からないときは、すぐに直さず、まず主な理由を問い合わせてから動く
  • 中心体験を作り直したときは、「見た目や名前を変えただけ」で終わらせず、関連する既存機能への影響を1つずつ確認する

この記事は、筆者が実際に個人開発しているモバイルアプリの開発記録(2026年8月13日〜18日)を基に、独自調整したAIが下書きを作成し、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。

追記(2026-09-07): この記事を書いた時点ではApple再審査の結果を待っている段階だったが、その後審査を通過し、「晶脈録」として実際に一般公開された。今の姿は晶脈録の紹介ページで見られる。

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