EmbeddingGemma 2で自分のブログ記事を探し、Jevで並べ替えた。効いたのは1本目ではなかった

EmbeddingGemma 2で自分のブログ記事を探し、Jevで並べ替えた。効いたのは1本目ではなかった AI活用術

課題

Xで、こんな投稿を見かけた。GoogleのEmbeddingGemma 2で、キャラクターの思い出を呼び出す仕組みを作ってみたら結果が微妙だった。そこで判断用のAI「Jev」を挟んだら、Jevがすごかった、という内容になる。

数字は書かれていない。気になったのは、「どこが微妙で、Jevは何をよくしたのか」だった。

ちょうどこのブログには、公開中の記事が116本ある。読者の質問に合う記事を探す仕組みとして、自分のデータで同じ組み合わせを試せば、数えて確かめられる。

解決できるようにすること

「埋め込みモデルで候補を拾い、判断モデルで並べ替える」という2段構えについて、それぞれの段が何に効き、何に効かないかを判断できるようにする。あわせて、手元のMacで試すときの手順、かかった時間と費用もまとめる。

先に結論

公開中の記事116本と、あらかじめ決めた質問12問で比べた。

  • EmbeddingGemma 2だけでも、12問すべてで1本目が正解だった。引っかけの質問も外さなかった
  • Jevで並べ替えると、上位3本に入った正解の割合が81%から90%に上がった。効いたのは1本目ではなく、2本目・3本目の正解を引き上げるところだった
  • Jevは「関係ある確率」を返す。正解の記事は中央値で90%、それ以外は16%で、関係ない記事を出さない線を引ける
  • 1段目で拾えなかった正解は、2段目では戻らない。記事を短い文に分けて試すと、Jevが引っかけにかかる場面もあった
  • 費用は、Jevを120回呼んで約0.008ドル(約1円)。EmbeddingGemma 2は手元のMacで動き、外へは何も送らない

この記事でわかること

  • EmbeddingGemma 2とJevが、それぞれどんなAIか
  • 2段構えで、1段目と2段目がそれぞれ何に効いたか(比べた数字)
  • 記事を短い文に分けると、結果がどう変わったか
  • 手元のMacで試したときの準備、時間、費用

ここで、こう思う人もいるかもしれない。

「判断モデルを挟めば、検索の精度はぐっと上がるんじゃないの?」

今回の結果を見る限り、1本目の精度はもともと高く、Jevで変わらなかった。変わったのは、その下の順位と、「どこから先は関係ない」と言い切れる線のほうだった。

公式発表で分かったこと

EmbeddingGemma 2

EmbeddingGemma 2は、Google DeepMindが2026年10月6日に公開した埋め込みモデルになる。埋め込みモデルは、文章を「意味を表す数字の並び(ベクトル)」に変えるAIで、意味の近い文章どうしは数字も近くなる。これを使うと、言葉が一致しなくても、意味の近い記事を探せる。

公式の開発者向けガイドとモデルの説明ページによると、主な特徴は次のとおり。

項目公式の記載
扱えるもの文章(コードを含む)、画像、音声、動画を同じ数字の空間に変える
大きさ全体で7.4億パラメータ。文章だけなら2.7億
数字の長さ768。512・256・128に縮めても使える
一度に読める長さ8,192トークン
ライセンスApache 2.0。ダウンロードに申請はいらない
動かし方sentence-transformers、Ollama、MLX、LM Studioなど

公式ガイドでは、使い道としてRAG(AIに資料を探させて答えさせる仕組み)やコード検索が挙げられている。128の長さは、並べ替えの前の候補しぼりに向く、とも書かれていた。

Jev

Jevは、TypeSafeという会社のAIで、文章を書かずに「決めた選択肢のどれに当たるか」を確率つきで返す。このブログでも以前、Jevを始める前の確認手順を書いている。

公式ドキュメントには、検索結果の並べ替え(リランキング)の例がある。候補1件ずつに「この候補は質問に当たるか」を聞き、返ってきた確率の高い順に並べ直す、という使い方になる。

項目公式の記載
使い方APIで呼ぶ
料金入力100万トークンあたり0.042ドル。出力は無料
提供状況早期アクセス中
データの扱い入力をAIの学習・微調整に使わない。サービスは米国でホストされる

実際に試した環境と方法

試したのは2026年10月9日、MacBook Air(Apple M5、メモリ16GB)になる。

試し方とスクリプト、後で紹介する画面は、AIに組み立ててもらった。自分は、何を材料にするか、ダウンロードしてよいか、質問と正解をどう決めるかを判断している。

準備したもの

  • EmbeddingGemma 2: Hugging Faceの公式ページから取得した。モデルは約1.4GB
  • 動かすための部品: Pythonの部品(sentence-transformers 6.1、PyTorchなど)を専用の環境に入れた。合計で約900MBになり、思っていたより大きかった
  • JevのAPIキー: 以前の検証で発行していたものを使った

最初は、モデルの読み込みで「画像処理の部品が無い」というエラーが2回出た。文章しか使わないつもりでも、読み込みには画像用の部品(pillow、torchvision)が要った。

材料と質問

材料は、このブログで公開中の記事116本にした。公開済みの文章だけなので、Jevへ送っても困らない。

質問は、読者が聞きそうなものを12問用意した。

  • 言葉がそのまま合う質問(例:Macで無料の画像生成を始めたい)
  • 言い換えた質問(例:AIの答えをそのまま信じていいのか不安)
  • 引っかけの質問(例:ChatGPTが前の会話を覚えているか確かめたい。ほかのAIの「記憶」の記事も拾いやすい)

質問ごとの正解の記事は、AIが案を出し、自分が確認して決めた。結果を見る前に決めている。

比べ方

2段構えの記事検索の流れ。質問から、1段目のEmbeddingGemma 2が116本から近い10本を拾い、2段目のJevが関係ある確率で並べ替えて結果を出す。1段目は1本目が12問とも正解だったが、10本に入らなかった正解3本は2段目でも戻らない。2段目は2・3本目の正解を上げ、上位3本の正解が81%から90%になった
  1. 116本の記事を、EmbeddingGemma 2でベクトルにしておく(このMacで約106秒)
  2. 質問もベクトルにして、近い記事を10本拾う(1段目)
  3. 10本それぞれについて、Jevに「この記事は、この質問の人が探している記事か」を聞く(2段目)
  4. Jevの確率の高い順に並べ直し、1段目の順位と比べる

参考の投稿は、思い出をQdrantというデータベースに入れていた。今回は116本と少ないので、データベースは使わず、メモリの中で近いものを探している。

記事ごとに比べた結果

1本目が正解上位3本に入った正解の割合
EmbeddingGemma 2だけ12問中12問81%
Jevで並べ替え12問中12問90%

1本目は、並べ替えの前から全部当たっていた。参考の投稿の「微妙」は、記事の題名がはっきりしている今回の材料では起きなかった。

Jevが効いたのは3問で、どれも2本目・3本目の正解を上に引き上げている。

  • 「AIの答えをそのまま信じていいのか不安」では、「確認に使ったAIが、存在しない間違いを見つけてきた」記事が、9位から3位に上がった
  • 「Macで無料の画像生成を始めたい」では、Draw Thingsを試した記事が4位から3位に上がった
  • 「同じ設定なのに動画の結果が毎回変わる」では、Seedを変えた記事が4位から3位に上がった

順位が下がった正解はなかった。

もう1つ分かったのは、Jevの確率の分かれ方になる。正解の記事は中央値90%(いちばん低くて53%)、正解でない記事は中央値16%だった。埋め込みの「近さ」の数字は、正解の記事が0.70〜0.82、正解でない記事が0.64〜0.77で、0.70〜0.77のあいだは重なっている。これだと、どこで線を引けばいいかが分かりにくい。Jevの確率なら、「50%より下は出さない」という線が引ける。

一方で、正解23本のうち3本は、1段目の10本に入らなかった。Jevは渡された10本を並べ替えるだけなので、ここは直せない。

同じ比較をもう1回すると

Jevの確率は、呼ぶたびに少し変わる。同じ比較をもう1回したところ、確率の差は中央値で0.01、最大で0.07だった。10本の並び順は12問中8問で入れ替わったが、上位3本の顔ぶれが変わったのは1問だけで、正解の割合は2回とも同じだった。

時間と費用

1問あたりの時間費用
1段目(このMac)約0.09秒0円
2段目(Jev、10件を同時に)約0.5秒120回・約19万トークンで約0.008ドル

記事を短い文に分けて比べた結果

参考の投稿は、短い思い出がたくさんある状態だった。記事は題名がはっきりしていて、探しやすすぎたのかもしれない。

そこで、記事を段落ごとに969個の短い文(中央値393字)に分け、題名を付けずにベクトルにして、同じ12問で比べた。各記事の最初の文には、本文の見出しとして題名が入っている。

1つ目の文が正解の記事から上位3つの文が正解の記事から来た割合
EmbeddingGemma 2だけ12問中11問72%
Jevで並べ替え12問中11問83%

短い文でも、Jevは上位を関係のある文でそろえる方向に効いた。良くなったのは5問になる。

一方で、Jevを挟むと結果が下がった質問が2問あった。中身を見ると、性質が違った。

  • 「ストアの審査で落とされたときの話」では、1つ目の文が正解の記事から外れた。Jevが1位にしたのは、正解に入れていなかった記事の「App Storeの審査で却下された経験があった」という一節だった。質問に合っていて、正解を決めるときに拾い漏らしていた記事になる
  • 引っかけの「ChatGPTが前の会話を覚えているか確かめたい」では、上位3つの文のうち正解の記事から来たものが2つから1つに減った。JevがChatGPTの検索機能の文や、Sakana Chatの記憶の文を上に上げてしまった。1段目では正解の文が1位だったので、短い文だけを見せると、Jevも引っかけにかかることがあった

作った画面「PAGEの書棚」

参考の投稿にならって、結果を見られる画面も作った。このMacの中だけで動く画面で、公開はしていない。

「PAGEの書棚」の画面。上の紺の帯に「PAGEに聞いてみる」の質問欄があり、「Macで無料の画像生成を始めたい」と入れると、下にDiffusionBee、Easy Diffusion、Draw Thingsの記事が選ばれた記事として、関係ある確率94%・94%・88%と要約つきで並んでいる

質問を入れると、1段目で拾った10本のうち、Jevが選んだ記事をカードで出す。カードには、関係ある確率、要約、記事のなかで質問にいちばん近かった部分が入る。画面の下には、記事どうしを似ている順に線でつないだ「書棚」の図があり、拾った記事が光る。

引っかけの質問「ChatGPTが前の会話を覚えているか確かめたい」の結果。1本目に「一時チャットなのにMemoryが使われる?」の記事が84%で選ばれ、2本目以降には「続きから」がうまくいかない記事やプライバシーセンターの記事が59%・57%で並んでいる

引っかけの質問では、1本目は正しく選ばれた。ただ、2本目・3本目には、記憶の話ではない記事も50%台で並んでいる。50%という線は、ぎりぎりの記事も通してしまうことが分かる。

画面では、1段目に0.1〜6.5秒かかり、時間がばらついた。比べるための実行では約0.09秒だったので、画面側で何かが遅くなっている。原因はまだ調べていない。

期待どおりだった点と、うまくいかなかった点

期待どおりだったのは、EmbeddingGemma 2が手元のMacで素直に動いたことになる。116本をベクトルにするのに約2分、質問1つは0.1秒もかからない。外へ何も送らずに、記事の検索ができた。

意外だったのは、1本目の精度がもともと高く、Jevで変わらなかったこと。参考の投稿のように「埋め込みだけだと微妙」になるかと思っていたが、記事単位ではそうならなかった。

うまくいかなかったのは、次の3点になる。

  • 1段目で拾えなかった記事は、Jevを挟んでも出てこない
  • 短い文だけを見せると、Jevも引っかけにかかる
  • 正解の付け方に漏れがあり、Jevのほうが正しかった場面があった。比べる側の正解も、完ぺきではない

どんな人に向くか

この2段構えが向いているのは、次のような人になる。

  • 自分のブログやメモから、関係する記事を探す仕組みを作りたい人
  • 「関係ない結果は出さない」線を引きたい人
  • 数十〜数百件程度のデータで、まず手元で試してみたい人

逆に、1本目さえ当たればいい用途なら、EmbeddingGemma 2だけでも十分かもしれない。今回の材料では、そうだった。

外部へ送れないデータを扱う場合は、Jevは使えない。Jevは米国のサーバーで処理されるので、送るのは公開してよい文章に限ったほうがいい。

今回は確認できなかったこと

  • 質問は12問だけで、正解はAIの案を自分が確認して決めた。数が少なく、正解にも漏れがあった
  • 日本語のブログ記事以外(英語、画像、音声)は試していない
  • 1段目の候補を10本より増やした場合や、短い文の検索と記事の検索を組み合わせた場合
  • 画面で1段目が遅くなる原因
  • 参考の投稿と同じ「思い出」のようなデータでの比較

現時点の判断

項目内容
結論EmbeddingGemma 2だけで1本目は12問とも当たった。Jevは2・3本目の正解を引き上げ、関係ない記事を出さない線を引ける。拾えなかった記事は戻らない
費用EmbeddingGemma 2は手元のMacで無料。Jevは120回で約0.008ドル
注意短い文だけを見せると、Jevも引っかけにかかる。Jevへ送るのは公開してよい文章だけにする
確認日2026-10-09(MacBook Air M5、EmbeddingGemma 2、Jev 1.13.0)

この画面「PAGEの書棚」は、まだ直したいところがある。拾い漏れを減らす工夫などを試したら、その経過は別の記事にまとめるつもりでいる。

同じことを試すときのポイント

  • 正解は、結果を見る前に決めておく。見てから決めると、比べ方が甘くなる
  • 1段目の候補に入らなかったものは、2段目では戻らない。まず1段目で拾えているかを確かめる
  • 判断モデルの確率で線を引くときは、ぎりぎりの結果がどれくらい通るかを、実際の質問で見ておく
  • 文章だけを使う場合でも、モデルの読み込みに画像用の部品が要ることがある

次に読むなら

Jevの公式サイトの見分け方と、始める前の確認はこちら。名前の似た非公式のサイトもあるので、試す前に読んでおくと安心できる。

埋め込みで「似ている」をどこから判断するかを、実際に測って決めた記録はこちら。

公式情報

この記事の紹介動画

この記事の内容を、ブログの案内役のPAGEと、SNSを担当しているLEAFが動画で紹介している。


この記事は、2026年10月6日のEmbeddingGemma 2の公式発表、TypeSafeの公式ドキュメント、2026年10月9日の実践記録を基に、独自調整したAIが下書きを作成し、筆者が事実確認・編集を行った上で公開しています。

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